アラフィフママを溺愛するのは植物男子でした
 郡山くんが、こっそりと耳打ちしてきた。
 ああーっ、この質問が来てしまった……!

「は、はい……。もう少し進んだら(・・・・・・・・)連絡します……」
「楽しみにしています」

 それだけ言って、広告宣伝部を出ていった。
 郡山くんは、まだ芽が出たばかりだと思ってるし、少しは時間が稼げそう。
 だけど、いつかは言わないといけないよね……。
 誰かに相談したい……。こうなったら、三島さん?

 いや、絶対ダメ! 彼女に言ったら、会社全体に知れ渡ってしまう!

 誰にも言えないまま、一日が過ぎてしまった。
 心労に心労が重なって、いつもより疲れてしまった。
 ああ、帰ったらまた彼が癒してくれるのかしら……?

 ……って、私ってばもうハマってる!?
 疲れたのは彼のせいでもあるのに!!

 少し早歩きでいつもの帰路を歩いていると、スマホのメッセージ着信音が鳴った。
 (より)からの生存確認だった。

『お母さん、生きてる?』

 相変わらずの文面に、くすりと笑ってしまう。
『生きてるわよ』とだけ返事をした。

 依……依かぁ……。
 さすがに娘には相談しづらいな。
 もし、もし一人でどうにもならなくなったら、依に相談しよう。
 うん、そう考えたら少し気が楽になった。

「ただいま」
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