アラフィフママを溺愛するのは植物男子でした
 は、恥ずかしいーー!
 まさかこの歳になって「初めて」とか聞くとは思わなかったわよ。
 でも航くんは、きっと私をからかおうとか、ドキドキさせようとか、そういう風には思っていなくて、事実を言っただけなんだろうな。

 そういえば、航くんと結婚してから、部長のお誘いがなくなったのは良かった。
 さすがに既婚者を誘うという考えはなかったようだ。
 そのことを航くんに伝えると、

「それは良かった。実は、ちょっと嫌だったんだ。結衣子(憧れの先輩)がそんな目で見られるなんて」

 ノンセクシャルの航くんは、そういうことにとても敏感だった。まったくの他人なら割り切れるけど、親しい人物の性的な話題はNGらしいのだ。
 それなら、私とミノが一緒の寝室にいることはいいのだろうか? と思っていると、私の心を見透かしたように言った。

「でも、ミノはいいんだ。二人で話し合って、お互い出来ないことを補おうって。それに、結衣子はミノが好きだろう?」

 そう言われて、少し心が痛んだ。
 だって、本来大切にしなければいけないのは、旦那様である航くんの方なのに。

「僕はミノの存在に感謝してるよ。だって、もし結衣子が僕を求めてきたって、僕はそれに応えられない。他の男なら許せないけど、ミノなら許せるよ」

 ああ、私、こんなに想われていいのでしょうか?
 なんだか感激してしまって、少し涙が出た。
 年齢のせいで涙脆くなってるみたい。

 やがて、頭の後ろからスースーと寝息が聞こえてくる。
 航くんが眠ると、私は向きを変えてその胸に顔をうずめて眠った。
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