泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
夫、優し過ぎ問題です
本日もジオのお仕事は、騎士団での訓練である。
青が澄み渡った空に赤い狼煙があがったのを確認して、ジオは立ち尽くした。
「失敗の合図だな」
「わかってたけどね!」
ジオは長期間訓練を続けている「封印魔法」の完成が見えなくて、天を仰いでしまう。
つかめそうで、つかめない。もどかしい感覚が燻ぶっていた。
ジオの隣で隻眼の騎士団団長は腕を組んだ。