泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
くいっと眉を高く上げて、団長はケラケラっと軽く笑った。
「やる気はあるよ」
ジオは笑い飛ばされてイラっと疼きが腹に湧いた。だが、団長の指導はいつも的確で、ジオにも自覚がある。
「……やらなきゃいけないんだから」
「それだよ。お前、そこがダメ。まあ歩こうや」
団長は丸い手首でジオの銀色の髪をごしごし撫でた。手首のある左手でジオの肩を抱いて、団長はジオを歩かせる。
団長に連れられてジオは歩き出した。
「今日の『封印』訓練は終わり。伝達してくれ」
「了解です、団長」