泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
団長はうなだれるジオと肩を組んだまま、すれ違いざまの団員に訓練の中止を告げた。
訓練場を抜けて、城下町の階段を抜けて、団長は歩きにくくてもにジオの肩を抱いたままだ。
「いいか、ジオ。
盾魔法の根源は『守りたい』って想いだ。
想いが強いほど強ぇ盾が使える。お前はそれがふんわりしてんだよ」
「ふんわり、か。そんなつもりないけど」
「お前の守りたいものってなんだよ?」
「そんなの決まって」
「ジオー!広場で遊ぼー!」
肩を組んでふらふら歩いている男二人の横を、元気な少年と少女が走り抜けていく。