泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
組んでいた肩を解消した団長はニカッと笑って、ジオの背中を平手でブッ叩いた。
「ルキナ的に言えば、ウザい。だな」
「親子でそれ言うのひどくない?」
団長に思いっきり叩かれた背中は、ジンジンと熱を持った。
「お前、優し過ぎて、良い奴過ぎんだよな」
階段を上り切った団長は、後ろから上ってきたジオをふり返った。
「『封印』をやるのは、みんなのため、なんだろ?」
団長の言葉にわずかな後ろめたさを指摘されたジオは、口の中が苦かった。
「守るべきみんなのためだよ」
「守るべき、なんて義務感じゃ、全く足りねぇ」