泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
激動の時代を生きた上の世代である団長は、安穏と育った下の世代ジオの切り捨ての甘さを指導する。
「みんな、なんて形ねぇもんじゃななく、守りたいものなんてたった一つでいい」
広場の中心には噴水が清らかな水魔法を打ち上げていて、噴水の周りでは子どもたちが風魔法を操って遊んでいた。
「それがあれば、他の全てを捨ててもいいと思える。そうなりゃ、覚悟なんて自然と決まるもんだ」
空からは鳥の鳴き声が聞こえて、母親たちが子どもを注意する声が響く。団長は変わらない日常の尊い風景に隻眼を細める。
「あれもこれも守りたいって。
中途半端で国を丸ごと封印なんかできるかよ」