泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─

「これくらいしかできませんので」

「俺の物置部屋もすっかり綺麗にしてくれてありがとう!」

「あの部屋には、ジオ様の大切なものがたくさんでした。楽しくやらせて頂きました」


ジオの物置に大量にある小石や花冠を思い出して、ステラは微かに頬を緩ませた。

町の子どもたちは次の日には渡したことも忘れるような些細な遊びの贈り物を、ジオは捨てない。


もらったものに込められた想いを捨てられなくて、しまい込んでしまうジオの優しい心根があの雑多な部屋に溢れていた。


「俺、好きなものをしまい込んじゃうって言ったっけ?」

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