泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
ステラはジオが手に握りしめている花冠に気がついて、両手を差し出した。
「あの、ジオ様、差し出がましいのですが。その花冠を私が飾ってもよろしいでしょうか」
「あれみたいにってこと?」
ジオがすでに壁に飾られ、パリッと乾燥して色を保っている花冠を指さす。ステラはバツが悪そうに俯いた。
「あ、あの勝手に飾って、申し訳ございません」
「いいよ?可愛いなって思ってたから。これも綺麗に飾ってくれるってこと?」
「はい、せっかくですので綺麗に飾れたらと思って。
子どもたちの気持ちもジオ様のお気持ちも大事にできたら……なんて。その余計なことを」
ステラはもらって来るなとか、捨てろなんて言わずに、綺麗に愛そうと言ってくれる。
ジオはステラの心遣いに、胸が軽やかに弾んで口端が自然に上がった。
「嬉しい。お願いするね」