泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
ステラが外出のために用意を始めると赤い鳥は森へ帰って行った。
鳥を見送り、夫婦の寝室を出て王城内をステラと並んで歩き始めたジオは首を傾げる。
「ステラって鳥に好かれるね」
「なぜかわからないのですが、昔からです。母もでして」
「へぇ、母娘で」
「鳥が好む顔、なのでしょうか?」
一緒の部屋で過ごすうちにステラの特技はジオの知るところとなった。窓を開けていればステラの肩には絶対と言っていいほどあの赤い鳥が飛んで来るのだ。
王城を出て城下町へ下りていくすがら、青い鳥が何匹もジオたちの隣を飛んでいった。
「ステラに懐いてるあの赤い鳥は、見かけない種類なんだよね」