泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
夫としてステラの頼りにされたい欲望が膨らむ。
ひとしきり心の狭い俺を感じ入ったジオは、ステラの背中をつんつん押して城下町の階段を下りていった。
「ステラ!今日は町刻みの魔法見せてあげる!」
「町刻み?」
ジオに誘われて、ステラは毎日カルラ国のあちこちを案内してもらっている。ジオのお気に入りスポット100巡りだ。
王城の周りに集まる集落は城下町と呼ばれて、常に国民の笑い声にあふれて活気があった。
(今日は何だろう、楽しみ。今は毒もないから、暗殺できないもんね)