泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
「……うーん、それね」
カルラ国民はお喋りし始めると、誰かがお茶やお菓子やスープまで持ってきて日暮れまでそのへんで話している。ステラはジオとの散歩で何度もそんな光景を見た。
「封印自体はみんなの賛成決まってて」
「そりゃあみんな賛成だからな」
「揉めてるっていうか決行できない原因は全部俺なんだけど」
「やっちゃえばいいだろ、ジオ」
「そうよ。外とここはもうまるっきり違うんだから」
「上の世代はそう言うけどさ。そんな簡単じゃなくて、正確にはまだ俺はできないっていうか……」