泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
ステラは喉でヒューヒューか細い音を立てて息をするのが精一杯だった。ステラはメイド服の胸元を握りしめて、口を開こうとパクパクしたが一つも声がでなかった。
言いたいことはたくさんあった。
行きたくない、カルラ国なんて恐ろしいところには行きたくない。本当に私が国王の娘だと言うの?どうして私がそんなところに!
ステラの青い瞳にうるうると涙が溜まるだけで、気弱なステラは一切言い返せなかった。
「文句の一つも言わないなんて、優しいのねステラ。お姉様は嬉しいわ」