泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
一言も発さず、反論もせずに言いなりのステラに気を良くしたユア王女は、さらにステラを追い込んだ。
「貴女、母親が病気だったわね。
断ったりしたらなぜか誰からも薬が売ってもらえなくなったりするかもね?そう、なぜか、ね」
(お母さんの薬が途切れる?死ねって言うの?!)
城下町の端の端、ステラは古びた一軒家で病弱な母親の世話をして暮らしていた。母親はステラの唯一の家族であり、守るべきものだ。ステラのたった一つの宝をユア王女は「人質」にした。
カルラ国に嫁に行かないなら、母親は死ぬぞと。
「大事なものを守りたいなら、頑張らないと。ね?」