泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
あったかいカルラ国でぬくぬく育ったために、世の悪の本当の恐ろしさを知らない彼の世界はいまだに純真だ。
『いいよ、それでも。俺がもらう』
『花嫁は一生だぞ?』
『俺が一生大事にするよ!』
いらない嫁だとたらい回しになるところだったステラを、きちんと受け取ると決めたのはジオだった。
議会では誰もがジオ世間知らず無謀!と胸で叫んでいた。
だが、結果やってきた花嫁は可愛らしく大人しい子兎みたいな子だった。静かで害の欠片もない。
ジオの潔い決断に、素晴らしい結果がついてきて議会はホッとしていたのだ。
団長はあの時のジオを回想し終わって、ビシッと指摘した。
「今日は子兎嫁ちゃんは来ないのか?議会メンバーだろうが」