泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─


「まあ、また楽しそうなお話ね。お父様、お聞きしたいわ」


すっかり身代わりの予定が立って機嫌がよくなったユア王女も椅子に座り、一般市民の給料一ヶ月分のお茶に口をつけ始めた。


メイド服の胸元を握り締めてぷるぷる震えるステラはまだたった一言の抵抗もしていない。喉がヒリヒリ乾くばかりだ。


「ステラよ。お前の結婚相手、

カルラ国の王太子を暗殺しろ」


「フハハッ!!お父様ったら悪党だわー!素敵よ!」


ユア王女のキンキン声で大喜びして、両手を叩いてキドナ国王の案を賞賛した。ステラは血の気が引いて震え続ける。


(暗殺?そんなこと、できるわけない)

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