泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─


ステラが赤い鳥を指先に乗せて、ふふっとご機嫌に笑った。


母が心配でたまらないステラだが、母の味を思い出すだけでふっと身が緩む。


ステラの背後ではベッドの脇で一本針時計が、時を着実に削っていた。


母親の命を削る音。


ステラはその残酷な音を、引きこもったこの部屋で聞き続けている。


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