泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
食堂に現れたサーシャは、スカートの端を握り締めて所在なさげに立っているステラを発見して突進してきた。
サーシャはステラにぎゅっと抱きついて後頭部から背中までを撫でに撫でた。ステラはされるがまま温かいハグをもらった。
(あったか……お母さんみたい……)
「ジオに独り占めされて寂しかったよねー!待ってたの!私の可愛い娘ちゃんと遊べるの待ってたのー!」
「サーシャ、ちょっと落ち着いて。ステラ困ってる」
「困ってる?驚いただけだよね?」
サーシャは薄紅色の瞳でステラを覗き込んでにへっと可愛らしく笑った。ステラは控えめにコクンと頷く。