泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
何の説明がなくても、これが母のベーコンシッチューで、美味しいものであることがわかった。
ステラは呼び寄せられるようにスプーンで白いスープをすくい、口に運ぶ。
口の中に一瞬で母の味が広がった。
ステラの青い瞳にみるみる涙がこみ上げて、止める間もないうちにぽとりとスープに雫が落ちた。
ステラは涙を拭く余裕もないままスープを何度も何度も口に運んで泣いていた。