泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─


魔法のおかげで食べることができた母の味で、ステラはますます母が恋しくなってしまう。


「……お母さんに会いたい」


会いたい想いが膨らむ。目が溶けそうに熱くて、涙が流れ落ちるのを止めることができずにいると、ジオが部屋に走り込んできた。


「ステラ!いた!」


ステラを追いかけてきたジオが、バルコニーで崩れ落ちて泣くステラに駆け寄る。ジオが現れると赤い鳥は去っていってしまった。


「大丈夫?気分悪い?ちょっと持ち上げるよ」


ステラは泣きじゃくるだけで、ジオに抵抗できなかった。軽々と抱えあげられて部屋に戻され、ベッドの端に座らされる。

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