泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
病人の髪を切って送るなんて惨い。そんなことをするなんて、人間のやることとは到底思えなかった。
悪意の味に、ステラは吐き気がした。
(ジオ様を殺すなんてできないと思ったけど……やっぱり、やらなくちゃ……お母さんを助けなくちゃ)
白い髪の毛が、ステラの焦りを追い立て、逃げ場なく追いつめた。
ステラは食事に使うナイフを手に持って、ナイフの刃に映る自分の青い瞳を見て震えた。
ジオへの恋心と母の命に挟まれて、ステラはますます引きこもっていった。