泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
レオナルドに頭をわしゃわしゃ撫でられて、国王直々の命令が下る。だが、ジオは眉を顰めた。
「え、俺一人で?ステラを置いて行くのちょっと」
子兎嫁ちゃんを一人置いていけない息子に、母サーシャはにっこり笑う。
「一緒に行ってきたら?旅みたいで楽しいかも」
「俺とサーシャは遠征で愛を育んだからな」
「もうレオさんたら息子の前で!あ、帰ってきたらちょうど祭りだから日程守ってね!」
息子の目の前で、またちゅっちゅちゅっちゅしだす国王夫婦を見て、ジオは頭を捻った。
(え、ルキナは俺にこれをやれって言ってるの?)
仲睦まじい両親があまりにも羨ましく、自分が実践するにはあまりにも無謀だとジオは頭を抱えた。
「ジオ、足が疲れたら、揉んでやれよ?」
「もうレオさんったらえっち!」
やたら煌く顔をキメてくる父と、キャっと恥じらう母の意味がわからなかった。