泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
花嫁、暗殺やめました
国王直々の命令を受けたジオは、引きこもりステラを連れて二人きりの遠征に出かけた。
昔は違ったようだが、昨今「遠征」とはカルラ国と他国の領域の境をぐるっと一回りすることを意味する。
毒気が満ちた紫色の森の中で夜営して、森を闊歩する大蜘蛛という化け物じみた生物との戦闘必至の危険な任務だ。
だが、この任務、盾魔法を有するジオにとってはさほど危険でもない。
ジオの盾魔法は毒気を除去し、大蜘蛛の攻撃から身を守り反撃できる。
そんなジオなので、危険な森の中でもあまり危機感はなく、ステラを連れて散歩の感覚だ。
「ステラ、歩くの疲れたら言ってね。背負ってあげる」