泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
「はい?」
紫色の森の中を行軍中、ハッと顔を上げたジオが一言謝るとステラをヒョイと小脇に抱えて飛び跳ねる。
(え、何?!)
ステラは瞬きするのが精一杯だったが、身体はジオの脇に抱えられて空へと見えない階段をカンカン上って行った。
何もない空中をカンカンと足音を立てて上ったジオは、高い木の上にステラを座らせてにっこり笑った。
「びっくりした?」