泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
ステラが青い瞳を見開いてコクコク頷くと、ジオはステラの白頭をくしゃっと撫でる。
「大蜘蛛出たから、行って来るね。一応ステラの周りにも盾魔法かけてるから大丈夫。ここで待ってて」
ジオはパチンと指を鳴らすと、またカンカンと足音を立てて空中の見えない階段を下りて行った。
(あのカンカンって音、盾魔法の上を歩いてるってこと?)
ジオが地面へ下りるのをステラは木の上からのぞき込む。
(な、なななに何あれ?あれが蜘蛛?)
ステラはそれがこの世の光景とは思えなかった。身の丈三倍はありそうなありえないほど大きな蜘蛛にジオが囲まれている。
(え、え、え?ジオ様死んじゃう!!)