泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
あっさり大蜘蛛を屠ったジオは、それから何度も一人で大蜘蛛を相手にした。
足手まといのステラを都度都度木の上に運んで盾魔法をかけて、大丈夫?と気遣っては余裕で笑った。
「ステラ、この木からこの木の間は俺の盾魔法があるからマスク外してもいいよ」
遠征に荷物を持たず手ぶらで歩いていたジオだが、指を鳴らせば大きな荷物が現る。
盾魔法に覆われた荷物が、ジオの後ろをついてきているとステラは理解した。
紫色の森の中で夜営をする準備もちゃっちゃとジオが一人でしてしまい、ステラはぼーっと石の上に座っていただけだった。