泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─

ジオは足を止めず、次の石碑を目指す。


「たった一人でも今の国民を失うことを、レオは絶対許さない。レオは一人で、キドナ国にマリを救いに行ったんだ」


上空で竜巻を停滞させて「マリを返せ」と言った男の唸りをステラは覚えている。


あれは小さな国民を守ろうとする国王の姿だったのだ。


「キドナ国ならありえません。小さな子ども一人のために、国が戦争を起こす覚悟で奪い返しにいくなんて。とても愛が深いんですね」

「うん、カルラ国はみんな、すごく愛情深いと思う。カルラ国では『隣人を大切に』って教えられるから」

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