泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
ステラはまっすぐ前を見据えて、ジオの手の熱さを感じながら歩き続けた。
「キドナ国は魔法使いを売り物に見ていて、戦争も大好き」
「仲良くできそうもないですね……」
「そう。だから、大人たちはもう外の国とは断絶しようって考えにいたったんだ」
「それが、封印ですか?」
「国自体を俺の封印魔法で消して隠そうってことになった」
「町で子どもたちが『消えた消えた』したみたいにってことですね」
「大正解」
ジオは深く頷いた。ジオは町中で子どもたちと遊びながら子どもたちを消す魔法を使っていた。
そこに「ある」のに、「ない」にできる封印状態。
魔法に精通したカルラ国民をも唸らせる魔法だった。