泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
花嫁、口説き始めました
夜営地を決めて、ステラとジオは並んで横になった。今日は移動距離が短かった。よく話して元気そうなステラに足揉みは必要ないと、ジオは空気を読み切った。
ジオは夜空を見上げて、ステラとずっと手を繋いで歩いた今日をふり返る。
(すごい良い日だった)
満たされた思いで眠れそうなジオがごろんと寝返りを打つと、同時にステラもごろんと寝返りを打って目が合ってしまった。
星みたいに綺麗なステラの青い瞳に見つめられて、ジオの目がパッと覚醒してしまう。
(可愛さに起こされる)
「ジオ様」
「ん?」
「お話してもいいですか」
「うん、もちろん」
今日はお喋りしたいらしいステラの誘いを受けて、ジオの胸に恋々の花が舞う。ジオは眠気も疲れも吹っ飛んで顔がニヤけた。
(お喋りしたい俺の花嫁、可愛い)