泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
指摘を受けたジオは、頭をかいてごろんと仰向けに寝転がった。ジオの紫色の目に遠い星空が映る。
「実はね……俺は封印反対」
「どうしてですか?」
ステラがまだジオの方を向いたままきょとんと目を丸くする。
「だってキドナ国にも、良い人はいるでしょ?」
ジオは星空に向かって片手を伸ばして、手に届かない光を掴もうとした。
「ステラみたいに優しい子はもちろん、マリが連れていかれたって教えてくれた人もキドナ国の人だ。
キドナ国にはステラのお母さんだっているよね。俺はまだ外の人との繋がりを消したくない。
人ってそんなに悪くないって、
仲良くなれるって思いたいんだ」