泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
「よく来たのう。歓迎するぞ。人間」
「カ、カルラン様?!」
目の前にふわっと音も立てずに空から着地した生き物の名を、ジオは呼んだ。
「いかにも、我がカルランじゃ」
舞い降りた彼はカルラ国が敬愛して奉る神獣様として伝えられる姿そのものだった。
鳥の顔をして、胴体は人間。
くちばしマスクと同じ形の丸いくちばしを持つ鳥の顔をしたカルラン様は、手は赤い羽毛で覆われた大きな翼をしている。
顔と腕は羽毛に覆われた鳥そのものなのに、胴体から下は人間の形をしていて人間の服を着用中だ。
鳥面人胴、見るからに異形。
「あ、あれがカルラン様!」