泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─

ジオは顔にいくつも擦り傷を負った険しい顔で、翼を一度振るっただけのカルランに対峙した。


「ステラが見えんのう」


空に浮かび上がったカルランは、きょろきょろ首を回してから丸いくちばしをカチカチ鳴らして笑う。


「盾魔法を封印にまで昇華してステラを隠したのか?上手いじゃないか。我でも知覚できんとは見事じゃ」

(レオから聞いてる。カルラン様は魔法勝負のお遊び好きだって)


ジオはステラを封印して守りに徹し、自分の周りにも盾魔法を厚く張った。


(これはお遊び?命までは取られない?)


盾魔法は守備特化の魔法のため、攻撃力にはやや欠ける。ニヤニヤ笑うカルランが絶えず強烈な風をまき散らし、ジオの盾魔法を何度も瞬殺決壊させた。


(ってそんな甘くないか……!強ッ……マジでレオより強いじゃん!!)

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