泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
国王レオナルドとの魔法勝負であっても、ジオの盾魔法は一瞬で決壊したりしない。
だが、カルランの起こす狂暴な風はカルラ国最強と名高いレオナルドをも凌ぐ。
「まあまあの使い手じゃの。じゃが、甘い。甘すぎる」
全身あちこち切り刻まれて多量の血が流れるジオは、紫色の双眼で楽しそうなカルランを睨んだ。
「父親と違って戦いに向いておらんの、お主は」
(血出過ぎて、クラクラする……何言ってんのか、わかんな)
風に切り刻まれたジオは血を流し過ぎて貧血で意識を失った。
「まだまだ若い。勝ちのヒントは与えてやったのにのう」