泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
ステラの青い瞳からぼろぼろ涙が零れてジオに降り注ぐ。ジオが意識を取り戻して目を開けると、涙いっぱいのステラというご褒美が待っていた。
(ステラ泣いてる。可愛い。俺このまま死ぬ?)
「ジオ様、死なないで……!」
ステラはジオの頭を膝に乗せて、ぎゅうぎゅう抱き締めた。カルランは二人の前で大きな翼の腕を偉そうに組んだ。
「おいステラ、我に願いがあったのではないか?」
(どうして知ってるんだ?)
ジオは血が足りなくてぼんやりしながらも耳を働かせる。
カルランがステラの名を知っていることや、ステラがカルランに会いたがっていたこと。何でも知っているカルランに違和感があった。
まるで、全部見ていたような言動だ。