泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
ステラは「願い」の言葉にピタリと止まった。祖国の母を救うため、カルランに心から会いたかった。
「我はお主の願いなら、叶えてやっても良いぞ?」
黒目だけの丸い瞳でステラを見つめ、赤い翼の先を合わせてカルランはモジモジする。なぜか照れるカルランに向かってステラは叫んだ。
「して!」
「ん?」
「ジオ様の怪我を治してください!」
涙をぼろぼろ零したステラは、膝の上に置いたジオの頭を抱き締めに抱き締めて泣き叫んだ。
「ん?」
首を傾げたのは鳥の神獣カルランの方だった。