泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
妙に鳥心をくすぐって止まない素質の持ち主であるステラにカルランはすっかり懐いていた。
ステラがカルラ国に嫁いできた時から、赤い鳥の意識を借りて、彼女を見守り続けてきたのだ。
カルランはステラの悩みの全てを知っていて、願いを叶えてやりたくてわざわざここに姿を現した。
なのに、ステラは取り乱しているようだ。
「落ち着け、ステラ。そやつは放っておいても死にはせん程度に遊んだだけじゃ。だからもう一度考えて」
「ジオ様を治してください!」
「ステラお前は母を」
「ジオ様を治して!!」
泣き叫ぶステラは強情で手に負えず、カルランはくちばしをムグムグ言わせながら赤い翼を振るうしかなかった。
「やれやれ、乙女心は複雑じゃのう」