泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
ステラがその黒玉を摘まんで、全体を観察したがただの石にしか見えない。
(その黒玉はカルラン様の目で、いつも見られてるんじゃ?とか思ったんだけど。俺、この発想……性格悪くない?)
ただ人を純粋に信じていたいばかりのジオが、ステラの安全を守るために、初めて「疑う」を覚えた。
(てか人の花嫁に、堂々と『寵愛』とかふざけんなよ……)
カルランから傷を刻まれ、神獣への忌々しい嫉妬も刻まれた。恋するジオは着実に人間らしい負の感情を育てていた。