泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
軽々と起き上がったジオはルキナを非難した目で見る。同じように地面に胡坐をかいたルキナはジオの鼻っ先をピンと指先で弾いた。
「何度も言わせるな。優しいだけじゃダメだ」
「またそれ……染みてるんだよね今」
ジオはカルランとの戦いで学んだことがあった。
ジオはあの時、ステラのみを封印で救おうとした。だが、それは間違いだった。
カルランはステラが封印された状態を「知覚できない」と認めていた。だから、ジオも己に封印をかけて、二人で逃げるのが唯一の勝ち筋だった。
ジオは勝てない相手にクソ真面目に向きあい、優しく彼女だけを生かそうとした。その結果、二人ともカルランに暴かれてしまったのだ。
「俺にはもっと、ステラを守るための狡さとか、姑息さとか必要だった気がする」