泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
花嫁、伝統衣装です
すっかり日が暮れて、町の広場に祭りの火が灯されたころ。ジオは部屋からいなくなったステラを探して大騒ぎしていた。
「ステラがいない!!レオどこ行ったか知らない?!」
ぎゃあぎゃあ喚いて取り乱すジオに縋られて嬉しい国王レオナルドは、ニヤニヤ笑っていた。
団長は広場の端に座り込んで、すでに祭りの酒を飲み始めていた。レオナルドはジオの肩を強引に抱いて耳に囁く。
「ジオ、カルラ祭りのジンクスは知ってるな?」
「言われなくても知ってるよ……」
「ちゃんとヤれよ。いい加減最後までヤれ。お前遅すぎな」
「うるさいなぁ」
ジオは体格が大きいレオナルドの屈強な腕を肩から退けた。