泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─

ステラの装いはスカートの裾丈が短く軽やかな翼を想像させる伝統衣装だ。カルラ祭りで女性に愛用されている。夫婦の寝室に飾られていた花冠も白頭の上で咲き誇っていた。


サーシャやルキナも同じ伝統衣装に身を包んでいたが、ジオの目に入ったのはステラだけだ。


ジオはステラの前に躍り出て、手をわたわた振り回して動揺を逃がしつつ顔を緩ませた。


「ステラすごく似合ってる」

「あ、ありがとうございますジオ様。サーシャ様とルキナ様が着せてくださって」


異国の花嫁が、夫の国の伝統衣装に身を包んでいるのは感慨深かった。

国王夫婦に、王太子夫婦まで集合した広場では自然と国民の視線が集まっていた。

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