泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─

顔全部が隠れてしまうくちばしマスクは、国王レオナルドがキドナ国を襲った時に着用していたのもだ。


口々にいってらっしゃいと告げる大人たちを見て、ステラは隣のジオに顔を寄せて囁いた。


「あの顔が隠れてしまうマスクはどうしてつけるのですか?」

(近い……全部可愛い。一生好き)


ステラが気を許した距離で寄ってくるとジオは胸がソワソワしてしまって、冷静な頭が飛んで行ってしまう。


「ジオ様?」

「あ、ああえっと、カルラ国では国王が誰かってのは実は秘密なんだ。信仰上の理由ってやつ」

「え?!皆さんレオ様が国王だって周知だと……」

「昔いろいろあって、今じゃ大人は周知なんだけど。

子どもたちには内緒にしてる」

< 329 / 480 >

この作品をシェア

pagetop