泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
サーシャとレオナルドがくちばしマスクを付けて颯爽と風に乗って星空に舞った。
ステラは二人を追って夜空を見上げる。
「どうして内緒に?」
「王様が誰かわからないってことは、もしかしたら隣にいるかもってことになる」
竜巻という狂暴な魔法しか見たことがなかったが、レオナルドの操る風魔法は優美だ。ステラは思わず目を奪われる。
「そうやって『隣人を大切に』っていう意識を育てるためだよ」