泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
すくっと立ち上がったジオは、ステラの防御の薄い膝裏に腕を添えて、軽々と横抱きに抱き上げてしまった。
遠目にそれを察知したルキナが声を上げる。
「あー!ジオお前独り占め禁止だって!」
「ごめん、もう無理。ステラ掴まってて」
「キャ!」
ルキナが待てと声をかけるが、ステラを片腕に軽々抱え直したジオは指をパチンと鳴らした。
小さな星が散り乱れた空に、次々と盾魔法を浮かべたジオはカンカンと軽快な足音を鳴らして透明の階段を駆け上がる。
「星空の階段か。なかなか優美じゃの」
「レオ様の風魔法ほどじゃねぇけどな。がんばれよ、色男!」
ジオがやっと花嫁を攫って走っていったことが美味しくて、ルキナは帽子を目深にかぶった青年と酒を酌み交わした。カルラ祭りの夜を祝ってレオナルドの命令通りしっかり酒浸りになった。