泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─


ジオが水面の上に優しくステラ立たせる。ステラが怖がらないようにジオはか細い手を握った。ステラは星から目を離さないままジオの手を握り返して、か細い声を響かせる。


「こんな綺麗なものを見たのは、初めてです」

「喜んでくれて良かった」


ステラは上を見上げて下を見つめてすべての星を感じる。圧巻の星が迫り、ステラの全てを包み、星空に飲まれそうだった。


「でも、どんなに綺麗な星空でもステラには敵わない」


ジオが軽くステラの手を引いて注意を引く。ステラがジオの紫の双眼を見つめると、ジオの甘くて低い声が届いた。


「俺の花嫁が一番綺麗だよ」


ジオの瞳の中には圧巻の星空も映らず、赤いドレスでジオを魅了するステラだけが映っていた。

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