泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
「ジオ様……」
ジオの強い視線に晒されてステラは裸にされたような気持ちになる。
顔に熱がこもり、強く握られた手が火傷しそうなほど熱かった。ジオは眩いばかりに美しいステラへの昂りを言葉に乗せた。
「もうずっとずっと前からなんだけど、俺」
星明かりに包まれたステラの王子様の真剣な声が、湖の水面を微かに震わせた。
「ステラにキスしたい」
ジオと繋いだ手が勢いよく熱さを増して、ステラの頬が火照った。
(嘘みたい。こんなこと言ってもらえるなんて)
ステラが秘密を告げようと決めた夜。
先にジオから愛を求めてもらえた。
ステラの胸が恋々に鳴き狂って、鼻の奥がキンと痛む。喜びに満ちるステラの青い瞳が星屑よりも麗しく潤んでいった。
「ごめん、ステラ。俺って大嘘吐きだった」