泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
ステラはジオが抱き締めてくれる腕の袖を握って、また涙を増していく。
「ジオ様を殺さなきゃ、お母さんを、殺すって言われて」
涙に擦れるステラの声が湖畔に細く響いた。
「お母さんを、殺す?」
「お母さん病気で、薬がなくなったら死んじゃ……でも、それでもどんな理由があってもジオ様を狙ったこと、ごめんなさ」
「謝らなくていい」
「でも」
「俺がいいからいいの」
やっと全てを吐き出して泣きじゃくり震えるステラをジオはきつく抱き締め直した。