泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─

「ど、どこへ?」

「お母さんのところ。今すぐ助けに行こう」


ジオは驚き過ぎて涙が止まったステラを抱っこして、また夜空の階段を駆けて上がる。

空を駆けるジオの首にしっかり抱きついたステラはジオの耳に情報を囁き続けた。


「ジオ様の暗殺に成功したら、キドナ国はカルラ国を襲うって」

「俺が死んだとか、外の国の人がどうやってわかるの?」

「時計にスイッチがあって、それで」


ジオはステラが祖国から持って来た数少ないものの一つ、一本針時計への違和感をずっと抱えていた。


「あの時計か」


ステラがそれを見つめる目はいつも虚ろで、怖がっている様子に気がついていた。やっと、謎が一つずつ解けていく。

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