泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
ステラの手を取って走っていくジオを見送ったレオナルドは、傍らに佇む王妃サーシャの肩を抱いた。
「見た?俺の息子のあの覚悟決まった顔!」
「かっこいいジオ!!」
「それなー!」
国王とジオの話を固唾を飲んで見守っていた国民たちの上空に、レオナルドはふわりと浮かび上がった。
「カルラ祭りの日は素晴らしい奇跡が起こる。20年前もそうだった」
くちばしフルフェイスマスクをかぶったレオナルドは、広場の真上から風に乗せて国王の決定を国中に伝えた。
「カルラ国は、夜明けと共に、永遠の封印を選ぶ」
広場から歓声と拍手が巻き起こり、カルラ国民たちは封印を待ち侘びた。