泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
爆風送迎に身体ごとすっ飛ばされて、ステラはジオの首に必死で抱きついていた。
だが、本気で焦っていたのはジオだった。
「着地できるのこれ?!」
紫色の森の上空をすっ飛んでカルラ国の領域を飛び出た二人は、すでにキドナ国の王都上空に達していた。
いまだに衰えることのない爆風魔法の勢いに、ジオは自分で着地しなくてはいけないことを悟った。
キドナ国上空に着いたら風が弱まるよという優しさが全くない。