泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
あまりに派手に山壁に突撃してしまったために、人が集まって来るのは必至だ。
ジオはステラを連れて急いで行動を開始した。
「ステラ、お母さんのところに連れて行って」
「今も家に母がいるのかわかりませんが、そこしか私は知りません」
ジオがパチンと指を鳴らして、また上空に透明な板の道をつくる。
ステラは久しぶりの祖国に浮足立つ気持ちなどまるでなく、ジオの手を必死で握り締めて、空を走り出した。